全年7月23日の投稿[32件]
リュウ
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Picrewの「水中呼吸Pixel」でつくったよ! picrew.me/share?cd=nR3nVFZioq #Picrew #水中呼吸Pixel
あげみづ
141日前(火 21:36:04) 創作語り
あげみづ
141日前(火 21:36:04) 創作語り
リュウ
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みなつむSS 私の可愛い贄
ウチの村では数年に一度、豊穣と災害の祈願のために女を一人、神様に差し出すことになっている。そしてそれが、今年は……ウチの家系であり、私である。予めわかっていたことであるし、そうやって言い聞かせられて生きてきた。だから、今更、そう今更不安になったとて、どうしようもないのだが。
友達、だと思っていた人達は薄情にも思えるくらいあっさりと贄となった私から目を背けた。皆、私から目をそらす。向けている視線の先は神様がおわすと言われている祠の中。祈る人々の前へ出て、神職様の後ろについて、身綺麗にした私は歩いていく。
母も昔、贄であったと父に聞いたことがある。そうなると、父は二人の家族を神とやらに捧げたことになるが……この村ではそれを何もおかしいこととはしていない。だから、父も……いや。ほんの少しだけ、昨日泣かれてしまって、だから私も少し揺らいでいるのだけれど。
祠に足を踏み入れた。神職様と同じように最低限の礼を尽くして入っていく。敷居を跨いだ途端、空気が変わり、ピリピリと冷たい風が頬を撫でたのを感じた。……居るんだ、神様って本当に……。贄ではなく人間として最後に考えた事はそんなことだった。なんにせよ、こんなに信仰の厚い村なのに、私たちは一度も神様とやらを見たことはなかったから……。どんな見た目?人間みたいなもの?それとも……化け物のようなもの?
そこで初めて、体が震えるのを感じた。そうだ。私は……贄だ。食われるのだろうか。それとも?何をされるのか、何をするのかもわからないまま、どんな形状をしているのかもわからない「神」とやらに捧げられる……ぞわぞわと背中を冷たさが走っていく。しかし、もう逃げることは出来ない。神職様の後ろをただ黙ってついて歩いて、奥へ、奥へと歩いていった。
神社の外観どおりの内装を歩き、やがて縁側へ出た。カコン、とししおどしの音が鳴った。パシャン。水の音がして、びくりと体を震わせた。何か、生物の音だったから。しかしすぐに頭を下げ、体を低くした神職様に合わせ、私も同じようにしていたから、枯山水の端っこと縁側の境目くらいしか見えなかった。
「……あら、それが新しい贄ですか」
人の声がした。神職様のものでは無い……中性的な。けれど、男性だろうか。柔らかく、透き通るような……そう、まるで、水の中で反響しているような、泡のような声。パシャリ、パシャン。同じように、水から這い出る音がする。近づいてくる。心臓の鼓動がうるさい。汗が頬を伝っていく。足元が見えた。宮司様みたいな袴……に、裸足で、服も体もべしゃべしゃに濡れていて。やがて……がし、といきなり顎を掴まれた。驚いて、ひ、と小さく声を上げる私の顔を、それは思い切り上にあげて。
深い朱を称えた瞳と、目が合った。絹糸のような長い髪を結わえ、神職の装束を着て、こちらを真っ直ぐに見据えている。ぞくぞくと、言いしれない不安のような興奮のような何かで心を埋めつくされて、私は何も言えないまま、動けないまま、ただ固まっていた。そんな私の両頬を、その人の濡れたままの指がなぞった。雫が私の頬に移って、首を伝って、庭に落ちた。
「初めまして、私の贄」
すっと、口元を歪めた相手はそう言った。はっとして、私は慌てる。気づけば隣にいたはずの神職様はもういない。この人と、二人きりになっていた。
「……あ、あなたが、神様ですか?」
なんとか出せた声で、私はそう聞いた。彼はしばらく黙って……しかしなぜかくすくすと笑い出して、言う。
「巳波と呼んで」
「は、はあ」
「貴方の名前は」
「え……いいえ。私は贄です、神様……巳波様。名前も一緒に捨ておいて……」
「では拾ってきてください。貴方の名前は?村で親に貰った名前があるのでしょう」
「……紡、です、巳波様……」
「そう。紡」
「あ、はい!よろしくお願いしま――」
ぐい。さっき掴まれた顎をそのまま。反対の手で体ごと引き寄せられて。私が言葉を言い終わる前に、唇が塞がれた。
一体何が起こっているのかもよくわからないまま、それはまた離れて、そして触れた。……巳波様の唇だとわかって、私は慌てたが、どうしようもできなかった。何度か離れて、また口付けて、弄ばれているような変な感情が渦巻いていく。やがて唇にざらりとした感触がして、体ごと熱くなって、逃げようとしても、いつそうなったのか背に手を回されていて逃げられなかった。問答しているうちに唇を何度も舌でなぞられて、慌ててきつく閉じた唇の継ぎ目を……割り込んでくる。それでも抵抗し続けた私は、結局縁側に押し倒されて、今度こそ抵抗する術なく巳波様にされるがままになっていた。
巳波様の舌が口の中をからかう様に遊ぶ。ざらついた舌の感触が口内で暴れ、体が熱を持っていく。……も、もう。もう。接吻の一つもしたことがない私は限界だった。懸命に体を押し返していると、やがて巳波様が体を起こした。……人間よりも長い舌が、そっと巳波様の唇を舐めとって、口の中へ消えていった。満足しているのか、何を考えているのかよくわからない不敵な笑みで、私を見下ろしている。
「……あ、あの、あの!あの、これ、は……?」
「これからよろしくお願いしますね、紡……私の可愛い贄」
「あ、み、巳波様!?」
巳波様は私の質問には答えないまま、そのままどこかへ――文字通り、消えてしまった。
私は……先程まで巳波様に遊ばれていた唇をそっとなぞり、大きく息をつく。
「……なんだったの、さっきの……っていうか」
贄って、何。役割は神様に聞けと言われているのだ。巳波様はどこへ行ってしまったのかわからない。しかしもう、村へは帰ることもできない。しばし呆けて……庭をぼんやり眺めながら、ししおどしの景気のいい音ではっとする。
「……神様の贄なんだから!とりあえず……!」
そっと、縁側から部屋にお邪魔して、触ってみれば埃だらけだった。私は母親がいなかったから、掃除も炊事も大得意だ。
「神様の家、綺麗にするところから!」
気合いをいれて、雑巾を探すところから私の「贄」としての生活が始まった。
畳む
141日前(火 21:12:41) SS
ウチの村では数年に一度、豊穣と災害の祈願のために女を一人、神様に差し出すことになっている。そしてそれが、今年は……ウチの家系であり、私である。予めわかっていたことであるし、そうやって言い聞かせられて生きてきた。だから、今更、そう今更不安になったとて、どうしようもないのだが。
友達、だと思っていた人達は薄情にも思えるくらいあっさりと贄となった私から目を背けた。皆、私から目をそらす。向けている視線の先は神様がおわすと言われている祠の中。祈る人々の前へ出て、神職様の後ろについて、身綺麗にした私は歩いていく。
母も昔、贄であったと父に聞いたことがある。そうなると、父は二人の家族を神とやらに捧げたことになるが……この村ではそれを何もおかしいこととはしていない。だから、父も……いや。ほんの少しだけ、昨日泣かれてしまって、だから私も少し揺らいでいるのだけれど。
祠に足を踏み入れた。神職様と同じように最低限の礼を尽くして入っていく。敷居を跨いだ途端、空気が変わり、ピリピリと冷たい風が頬を撫でたのを感じた。……居るんだ、神様って本当に……。贄ではなく人間として最後に考えた事はそんなことだった。なんにせよ、こんなに信仰の厚い村なのに、私たちは一度も神様とやらを見たことはなかったから……。どんな見た目?人間みたいなもの?それとも……化け物のようなもの?
そこで初めて、体が震えるのを感じた。そうだ。私は……贄だ。食われるのだろうか。それとも?何をされるのか、何をするのかもわからないまま、どんな形状をしているのかもわからない「神」とやらに捧げられる……ぞわぞわと背中を冷たさが走っていく。しかし、もう逃げることは出来ない。神職様の後ろをただ黙ってついて歩いて、奥へ、奥へと歩いていった。
神社の外観どおりの内装を歩き、やがて縁側へ出た。カコン、とししおどしの音が鳴った。パシャン。水の音がして、びくりと体を震わせた。何か、生物の音だったから。しかしすぐに頭を下げ、体を低くした神職様に合わせ、私も同じようにしていたから、枯山水の端っこと縁側の境目くらいしか見えなかった。
「……あら、それが新しい贄ですか」
人の声がした。神職様のものでは無い……中性的な。けれど、男性だろうか。柔らかく、透き通るような……そう、まるで、水の中で反響しているような、泡のような声。パシャリ、パシャン。同じように、水から這い出る音がする。近づいてくる。心臓の鼓動がうるさい。汗が頬を伝っていく。足元が見えた。宮司様みたいな袴……に、裸足で、服も体もべしゃべしゃに濡れていて。やがて……がし、といきなり顎を掴まれた。驚いて、ひ、と小さく声を上げる私の顔を、それは思い切り上にあげて。
深い朱を称えた瞳と、目が合った。絹糸のような長い髪を結わえ、神職の装束を着て、こちらを真っ直ぐに見据えている。ぞくぞくと、言いしれない不安のような興奮のような何かで心を埋めつくされて、私は何も言えないまま、動けないまま、ただ固まっていた。そんな私の両頬を、その人の濡れたままの指がなぞった。雫が私の頬に移って、首を伝って、庭に落ちた。
「初めまして、私の贄」
すっと、口元を歪めた相手はそう言った。はっとして、私は慌てる。気づけば隣にいたはずの神職様はもういない。この人と、二人きりになっていた。
「……あ、あなたが、神様ですか?」
なんとか出せた声で、私はそう聞いた。彼はしばらく黙って……しかしなぜかくすくすと笑い出して、言う。
「巳波と呼んで」
「は、はあ」
「貴方の名前は」
「え……いいえ。私は贄です、神様……巳波様。名前も一緒に捨ておいて……」
「では拾ってきてください。貴方の名前は?村で親に貰った名前があるのでしょう」
「……紡、です、巳波様……」
「そう。紡」
「あ、はい!よろしくお願いしま――」
ぐい。さっき掴まれた顎をそのまま。反対の手で体ごと引き寄せられて。私が言葉を言い終わる前に、唇が塞がれた。
一体何が起こっているのかもよくわからないまま、それはまた離れて、そして触れた。……巳波様の唇だとわかって、私は慌てたが、どうしようもできなかった。何度か離れて、また口付けて、弄ばれているような変な感情が渦巻いていく。やがて唇にざらりとした感触がして、体ごと熱くなって、逃げようとしても、いつそうなったのか背に手を回されていて逃げられなかった。問答しているうちに唇を何度も舌でなぞられて、慌ててきつく閉じた唇の継ぎ目を……割り込んでくる。それでも抵抗し続けた私は、結局縁側に押し倒されて、今度こそ抵抗する術なく巳波様にされるがままになっていた。
巳波様の舌が口の中をからかう様に遊ぶ。ざらついた舌の感触が口内で暴れ、体が熱を持っていく。……も、もう。もう。接吻の一つもしたことがない私は限界だった。懸命に体を押し返していると、やがて巳波様が体を起こした。……人間よりも長い舌が、そっと巳波様の唇を舐めとって、口の中へ消えていった。満足しているのか、何を考えているのかよくわからない不敵な笑みで、私を見下ろしている。
「……あ、あの、あの!あの、これ、は……?」
「これからよろしくお願いしますね、紡……私の可愛い贄」
「あ、み、巳波様!?」
巳波様は私の質問には答えないまま、そのままどこかへ――文字通り、消えてしまった。
私は……先程まで巳波様に遊ばれていた唇をそっとなぞり、大きく息をつく。
「……なんだったの、さっきの……っていうか」
贄って、何。役割は神様に聞けと言われているのだ。巳波様はどこへ行ってしまったのかわからない。しかしもう、村へは帰ることもできない。しばし呆けて……庭をぼんやり眺めながら、ししおどしの景気のいい音ではっとする。
「……神様の贄なんだから!とりあえず……!」
そっと、縁側から部屋にお邪魔して、触ってみれば埃だらけだった。私は母親がいなかったから、掃除も炊事も大得意だ。
「神様の家、綺麗にするところから!」
気合いをいれて、雑巾を探すところから私の「贄」としての生活が始まった。
畳む
141日前(火 21:12:41) SS