屋根裏呟き処

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Icon of reverseroof リュウ 巳波、子供と一緒に寝てしまった紡を見て ŹOOĻのグルチャではしゃぐみんなを眺めて テレビの中で活躍する自分を見て 生活感が漂う家族の空間を見回して ああ、生きててよかったんだなって 思って欲しい
もう何も失わなくていいんだって思って欲しい……
Icon of reverseroof リュウ 棗巳波、棗も線対称、みなみは回文
ヨルムンガンドはウロボロスでもあるらしい
ミッドガルドを囲んで眠っているところから眠そうな目付きなのだろうか

開眼するとこの世が終わる
→4部で目が覚めた巳波と悲劇の連鎖の終了は連動している?
Icon of reverseroof リュウ ドラコレ春2風味
20240627104341-reverseroof.png
Icon of reverseroof リュウ みなつむ死ネタ

このまま二人が死んでいくのがメリバだろうが、巳波だけ死ねなかったとか紡だけ死ねなかったとかも全然アリ……

最初に2人を見つけるのははるちゃんの気がする
たぶんえげつない後悔をする
畳む
Icon of reverseroof リュウ みなつむSS 解放

「……?巳波さん、お昼の薬はもう……」
「……嫌ですね。私が管理しているんだから、疑わなくたって大丈夫ですよ。今日のお昼はまだ飲んでません」
「……でも、こんな……こんなのでしたっけ……」
「……飲めないなら飲ませてあげます」
 錠を一つ、水を含んで無理やり彼女の唇と自分のそれを重ねた。今日に限って彼女は普通で、いつも通りで、でももうそれくらいでは引き返そうと思わないくらいに、私は壊れてしまっている。不審そうに嫌がる彼女の口の中に無理やり入れた錠は、何故だか甘い。諦めない私に根負けして、そのうち彼女はすべて飲み込んだ。そのまま彼女の唇をそっと舌でなぞって、口の中を味わっていく。ざらり、彼女の舌が絡まって、ああ、甘い。甘い。甘い……。
 一通り彼女を味わって顔を離すと、焦点の定まらない瞳で彼女が私を見上げている。即効性のある薬というのは本当だったらしい。
「……巳波さん、これ、は……」
「大丈夫ですよ。いつもより少し強い安定剤をもらっていたんです。最近の貴方、不安定ですから」
「そ、そう……です、か……?」
 既に呂律が怪しくなっている彼女が愛おしくて、そのまましばらく頭をなでる。髪の毛を指で梳くと、そっと手に寄り添ってくる彼女のそういうところは付き合った頃からなんら変わらない。好きで、好きで、好きで。彼女に付き合えないと言われるたびに引き裂かれそうだったことも、ついに彼女に受け入れてもらえた時にこの世のすべてを愛せそうに思えたことも、彼女が生涯を共にしてくれると頷いてくれた時の幸せも、すべてすべて。
 ――走馬灯。
「……準備しなくちゃ」
 彼女のスマートフォンの電源を落とした。通知欄にあった「七瀬陸」の文字を見て、少しだけ罪悪感に襲われる。けれど、でも。もう、いいですよね。貴方たちに彼女はあげない。真っ黒になった画面を下にして、私のスマートフォンを切ろうとして……未読の通知にあるメンバーの名前に、一瞬だけたじろいだ。
 ――ねえ、紡さんと……別れなよ……もう巳波、見てらんないよ。そう言った亥清さんも、それを心配そうに見守ってくれていた狗丸さんも、御堂さんも……。
「……ごめんなさい」
 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……。心の中で何度も謝りながら、自分のスマートフォンの画面も暗くなった。そっと床に置いて、遠くに蹴り飛ばした。きっと今夜電話が来るだろう。私はそれには出られない。
 ――私たちを最初に見つけてくれるのは、彼らだろうか。
「……み、なみ、さん……?」
「……大丈夫、傍にいますよ。……もうずっと一緒です。これでずっと……最期まで一緒ですよ……もう、私がいないって寂しくなって自傷しなくたっていいし……喚いて傷つくこともない」
「な、なんか、変……ですよ。みなみ、さ……」
「言っていたでしょう、ずっと一緒にいてほしいって。どこにも行かないで、傍にいてくれって。これしかないんです、もう。こうするしか……こうするしか、ないんですよ……」
 身なりを整えていく。少し前に用意しておいた綺麗なドレスで彼女を彩る。力が入らない彼女を着せ替えるのは聊か大変ではあったけれど、ほら、こんなにも似合っている。
「結局、お互いに忙しくて式も挙げられませんでしたからね。ほら、ウエディングドレスには少し及ばないけれど……ああ、メイクアップも。勉強しておいたんです……ほら、整えるから、もう少し起きて……。……もう、起きてられませんか」
「な、んか……ちから、が」
「ふふ、へにゃへにゃで……可愛らしい」
 大丈夫ですよ、そう言いながら彼女の体をそっと壁に寄りかからせて、彩っていく。このために数日、女優のメイクアップアーティストに練習させてもらっていたのだから。妻に化粧をしてあげたいのだと言ったら、ああ、さすが愛妻家ですね、と言って微笑まれた。
 私たちのことはどう報道されるのだろうか。ぼんやりとそんなことを考えながら、彩った彼女の顔は、花が咲いたようだ。
「ほら。ね、私、結構要領いいつもりなんです。可愛いですよ、紡」
「……ぁ……」
「ふふ。嬉しいですか?そうですか……それならよかった」
 ぁ、ぁ、と小さく聞こえる彼女の声は肯定なのか否定なのか、歓喜なのか悲鳴なのか、もうわからない。私も用意しておいたタキシードに袖を通してみた。仕事以外でこんな豪華な服を着たのは、初めてかもしれない。
「……ねえ、私、似合ってますか」
 ずるずると壁から床へ、ぐったりと倒れている紡にそう問いかけて、なんだか妙に嬉しくなって、体を起こしてそのままキスをした。
「あの世に行っても一緒です、誓いますよ。貴方も誓ってくれるでしょう?」
 紡はもうろくに体の自由が利かないのだろう。虚ろな瞳を懸命に動かして私をとらえて、なにやら唇を震わせる。私は……何も答えず、何もくみ取ろうとせず、ただ……彼女に向けて、微笑んだ。最後に私は、用意していた最後の物を手に取って……彼女の首にそっとかけた。
「……色々、悩んだんですけどね」
 麻縄が首に食い込むことをしっかり確認してから、長さを確認する。用意していた踏み台がちょうどよさそうだった。
「一緒に旅立つのに、なんだかいいじゃないですか。宙に浮いたまま逝ける、なんて」
 空を飛んでるみたいでしょう?自分でも狂っているような言葉を笑いながら。私も自分の首に、縄をくくった。ふう、と息を大きく吐いてから、私もそっと、紡に飲ませた睡眠薬を……飲んだ。
「さて……」
 紡を机の上に載せて、天井に縄をくくりつけた。彼女を抱きかかえたまま自分の縄を括りつけている間、私にも抗えない眠気がやってきて、それでもどうにか支度を終える。
 これでいつ、気を失っても……もう、大丈夫。
「……紡。紡。もう、寝ちゃいましたか」
 腕の中で寝息を立てる彼女の腕に、体に、首に、線状の傷跡が目立つ。
「辛かったですよね。ごめんなさい……もっと……」
 もっと早く、こうしておけばよかった。
 踏み台の上で、彼女の体を抱きしめた。愛しい体を何度も撫でて、自分で赤く染めた唇に何度も口づけて、やがて私の足も、ふらつき始めた。力が入らなくなっていく。
「……ふたり、で……ずっと。ずっと、いっしょに」
 ずっといっしょに……。
 かくん、と、からだが、ゆれ、た。
 ――。畳む

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Icon of reverseroof リュウ みなつむSS

「いえ、人の目がないだけでこんなに気が楽なもんなのかと思うこともありますよ」
    そう言って微笑み、髪をかきあげる巳波の仕草に思わず心臓が高鳴る。一般人には出せない色気や妖しさ。それでも、彼がタレントでない以上、周りも見目が綺麗なマネージャーとしてしか見ていない。紡はそっとガラスに映る自分を確認した。……こんな平凡な見た目であっても、タレントだから常に見られている。慣れない人々の視線に、たった数日で紡は疲れ切っていた。……巳波の言う通りだ。
「……まあ、その分、貴方に負担をかけていますね」
「い、いえ……棗さんだって頑張ってくれてるじゃないですか。ここは協力して、早く、穏便に、元の世界に帰るべきですから」
    巳波がマネージャー業と並行して調べ物をしてくれている以上、自分のやるべき事はこれ以上巳波の仕事を増やさないことだ。アイドルとしての仕事をこなすこと。失敗しないこと。期待に応えること。
「……。……スケジュールには余裕ありますよね。小鳥遊さん、少しこちら……よろしいですか?」
「?……ここじゃダメな話、ですか?」
「……ふふ。私はいいんですけれど、貴方は……アイドルですからね」
「……?……はい……」
    おいでおいで、と手招きする巳波に導かれるまま、紡は傍にあった会議室に足を踏み入れた。その後、巳波が部屋に入る。特に何も無い、机と数人分の椅子が置かれているだけの小さな会議室だ。
    ――カチャ。
    会議室の中を眺めていた紡の背後で、鍵が閉まる音がした。巳波の長い指が、そっと鍵から離れる。
    目が、合う。
「……あ、あの……」
    なぜだか急に気まずくなって、紡は急いで目を逸らした。優しく微笑んだままの巳波の感情は読めない。巳波はただじっと、紡の瞳を見つめているままだ。
「まだ私は研修が明けたばかりの新人マネージャーですので……」
    くす、と笑いながら、自分に伸びた手を、紡は反射的に避けようとして……左手首と右肩を掴まれる。
「ちょっと、癒し方が下手かもしれないですけれど。許してくださいね」
「ま、まっ……」
    ――体温。巳波との距離はゼロだ。だらだらと、背中が冷や汗だらけになっている。頭が熱い。体が熱い。離れようともがくほど、不思議と巳波の腕の中に誘い込まれていく。しっかりと背中と腰に手を回されて、もう、紡の意思では抜け出せなくなっていた。
(……さっき、唇、塗ったのにな……)
    妙に冷静になって、ぼんやり思う。ヘアメイクしてもらったのに、髪を梳かれて。化粧、崩れてないかな。大丈夫かな。一瞬唇が離れて、安心して息を吐いて、でもまた唇を奪われる。離れては奪われて。室内に、控えめなリップ音が木霊する。
    ――やがて、巳波が一息ついたところで、紡はキスが終わったことに気づいた。依然として距離は近いまま、そのまま巳波はまたしばらくじっと紡を見つめ……そのまま、紡の首元に顔を埋めた。
「……あ、あの……えっと……どうしちゃったんですか、棗さん」
「……なんか、キス慣れしてません?」
「そんなことないですよ?」
「……そうですか。なんだか私が思っていた反応と違ったものですから……癒されました?」
「メイクが崩れてないかすごく気になります、この後収録なので」
「……ちゃんと崩さないようにやってますよ。……崩して差し上げてもいいですけれど」
「え」
    はあ、と何やらため息をついて、巳波はそっと体を離した。さらさら、と何度か紡の髪を整えて、そのまま唇の端を親指で拭う。
「……甘いものとか、食べます?」
「あ、頂きたいです」
「……気まずくなったり、しないんですね。いきなりキスされたのに」
「気まずくなっても仕方ないですからね。アレですよね、なんかキスとかハグってホルモンが出ていいらしいですし、棗さんのお疲れも取れました?」
「……私はなんだか疲れがドッと来ました、今」
    そろそろ行かないといけませんよね、と呟くように言いながら、巳波は会議室の鍵を開けた。そのまま何も無かったかのように、二人で部屋を後にした。

    収録に行くアイドルたちを見送ってから、巳波は大きくため息をついた。
    この世界でなら、もしかしたら……そんな出来心で彼女の唇を奪ったのは自分、だけれど。抱きしめたのも、自分、だけれど。
(体は緊張してたし、赤くはなったものの……"あれ"じゃ、鈍感どころの騒ぎじゃない)
    だいたい、男に体を触られてそれもコミュニケーションだと思っているのなら、早急に認識を改めて貰う必要がある。それは別に、巳波と恋仲になるからとか、そういう以前の話だ。……心配になってきた。
(どうやったら意識してもらえるんだろう)
    自分がやるべき事は、元の世界へ帰る方法を探すこと。しかし、元の世界へ帰れば自分はアイドルだ。常に人の視線の中で生きる。今みたいに、気楽に彼女とは会えない。なかなか触れられもしない。
(……この世界にいるうちにもう少しだけ踏み込んだ関係になりたい、と思ってしまうのは……)
    ははは、と、小さく乾いた笑いを零し、巳波は口をしっかり結んだ。
畳む