No.1719, No.1718, No.1717, No.1716, No.1715, No.1714, No.1713[7件]
リュウ
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すでに脱線しつつあるAGAINの設定がたり(旧)
ツバサトキミヅキの話
ツバサ
とにかく乱暴。だが妙に冷静なところもあり、そこが黒樹の血を感じさせる。
普段は黒樹城の牢に手枷と首輪で繋がれており、自分も暴れないためだと理解した上で自主的に入っている。
ミヅキを殺そうとしたのは唯一尊敬していた父親に「母親を殺した」と嘘をつかれていたためである。実際は母親などいない。なぜなら黒樹ツバサは黒樹アツヒトのクローンの1人だから。
口調は一人称俺、二人称はお前。名前で呼ぶことは多くなく、金髪、だの氷獣、だの最初は呼ぶ。話が進むと名前で呼ぶようになる。
好きな食べ物は肉。不味いものは不味いといいつつも食べる、貴族では珍しいもったいない精神も。黒樹は庶民から下克上した一族なのでそういったところがある。
ストーリーではまず最初にミヅキを殺そうとしてコンタクト、その次には孤児院にいるのを見つけ皆殺し。殺すことに躊躇なし。暗殺の仕事も多く受けている。罪悪感もなし。自分がそのための存在だと理解している。戦闘狂なので時折ミッションよりも楽しさを優先することも。よくトキに怒られる。
その後1度目の繰り返しをしたときは水無月学園に転校生としてやってくる。が、カイトが邪魔をしてミヅキにコンタクトできず。
2度目の繰り返しでようやくミヅキとまともにコンタクトし、そこで母親の仇でないことを知る。
AGAIN2章の旅のパートでは、指名手配をされており逃げるために旅を始めたが、そのうちにミヅキに心惹かれ共に戦う選択をする。
カイトが現れた時、同じ顔なのに自分ではない違和感と、ミヅキが自分に向けたことない感情を向けているのに対し悩む。
そのうちにミヅキに恋をする(というか大切な存在になっていく)のだが、それに比例して穏やかに冷静になっていく。
戦闘技術は相当なもので、普通勝てない。ナイフを投げたり刺したりする。王宮式剣術もできる。朝にランニングをし、朝食を食べ、暇があれば筋トレをしているのでカイトに比べがっしりしている。
AGAIN2章の終わりではミヅキにキスをし、「次に会う時には相応しい存在になるから」と告白するシーンもある。その頃にはだいぶ落ち着いている。
ミヅキが記憶喪失して平和な村で暮らしている際は、ひとりだけ「ミヅキをこのままにさせてやりたい。幸せになって欲しい」と主張する。
料理はできる。サバイバルはお手の物。運動神経特化型。
トキ
黒樹城で研究者をやっている兄王子。付け加えるとツバサは弟王子、トキは兄王子と一般に呼ばれてる。(ときに蔑称にもなる)が、公務よりも研究を優先。父親のやっている研究の手伝いをしている。冷静沈着で、仕事はきっちりこなす。責任感はつよい。ツバサが言うことを聞くのはアツヒトとトキ(しぶしぶ )だけ。趣味は読書とガーデニング。古文書も読める。ほっといたらいつまでも研究や読書にあけくれている。元々同じ研究チームにいたフィリアと恋をし、プラトニックな愛を紡いでいたが父親に人質に取られ、仕事が終わった頃には殺されていた。それを見て、父親に歯向かうことを決意する。恋人の弔いは1人で、よく2人で寄り添っていた森にうめた。フィリオールと協定を結ぼうとしたり、意外な行動をすることがある。自室は自分の作った薬品や採取したものなどで埋まっており、ほっとくと寝食を忘れる。恋人がいたからなのか、本当の父親のことを知っているからなのか、ツバサに比べて段違いに優しさがある。
同人誌では「トキが作った薬のせいで」という口上が使える。第2章では教育実習生として学園に潜り込んでいる。先頭は得意ではなく守り、治癒がメイン。2章の最後では戦力にならないからと真っ先に飛び出し「先にいけ!」と体を張ることがある。知識が豊富。
ミヅキ
女性恐怖症(だけど女の子の友達はほしい)のいじめられっ子。天才すぎるのとコミュ障で生意気強気を言ってしまうので友達はカイトしかいない。(可愛いか ら男にはモテるが、それがまた女子を不愉快にさせている)いじめもあるし学校に合わないのであまり学校に行きたがらず、不良チームレンゴウカイのメンバーとゲーセンで屯していることが多い。朝が弱いのでカイトが起こして朝食を作りに来る。カイトとは幼なじみで、ミヅキは本当はすごく頼りにしている。兄は芸能人でなかなか帰って来れないが、それが本当は寂しい。家族は両親は幼い頃事故にあったと聞いている。ミヅキ自身、途中までの記憶が無いのは事故の後遺症だと言われている。実際には記憶操作されており、両親などもいない。兄とは血が繋がっていない。ミヅキは氷獣という種族で、氷獣は8年前にある計画により里を襲われ、もう生き残りはミヅキしかいないと思われている。兄のキタツキは実は王族直下秘密部隊(通称ハンター)の総司令官。フロンスティアにいってからもミヅキはなかなか人に素直になれないが、少しずつ変わっていく。アグノムにいちばん信頼を寄せている。ツバサとは日々ケンカをしている。ミクがその間に入る。トキと時々本について話したり、本を借りたりしている。アグノムの裏には気づいていない。ユクシーには憎まれ口を叩きながらも優しくなっていく。冒険をしながらもカイトの存在が大きく、寝言でカイトを呼んだり、助けてくれたツバサをカイトに見間違えたりする。実際カイトが合流した時は泣きながら抱きついていた。滅多に人前で涙は見せない。
フロンスティアにいるうちに封印されていた記憶が少しずつ蘇っていく。擬似二重人格のようになったり、封印が溶け始めて力が暴走し村をひとつ壊滅させてしまうこともある。その際仲間全員に見捨てられるが、ミクだけはそばに居る。
3章では未来の自分の子供と大人ミクと共に崩れてしまった世の中を立て直すために尽力する。
4章では妖獣の王として選ばれるものの、そこでアグノムと対立することになる。最終的には妖獣と人間の戦争をなんとか止める。そこでミヅキは力尽きて倒れてしまう。
余生は本編では描かれないが、キタツキと2人で暮らし、キタツキが介護し、落ち着ける北国の森の中の小さな家で最期を迎える。畳む 1年以上前(木 00:13:32) 創作語り
ツバサトキミヅキの話
ツバサ
とにかく乱暴。だが妙に冷静なところもあり、そこが黒樹の血を感じさせる。
普段は黒樹城の牢に手枷と首輪で繋がれており、自分も暴れないためだと理解した上で自主的に入っている。
ミヅキを殺そうとしたのは唯一尊敬していた父親に「母親を殺した」と嘘をつかれていたためである。実際は母親などいない。なぜなら黒樹ツバサは黒樹アツヒトのクローンの1人だから。
口調は一人称俺、二人称はお前。名前で呼ぶことは多くなく、金髪、だの氷獣、だの最初は呼ぶ。話が進むと名前で呼ぶようになる。
好きな食べ物は肉。不味いものは不味いといいつつも食べる、貴族では珍しいもったいない精神も。黒樹は庶民から下克上した一族なのでそういったところがある。
ストーリーではまず最初にミヅキを殺そうとしてコンタクト、その次には孤児院にいるのを見つけ皆殺し。殺すことに躊躇なし。暗殺の仕事も多く受けている。罪悪感もなし。自分がそのための存在だと理解している。戦闘狂なので時折ミッションよりも楽しさを優先することも。よくトキに怒られる。
その後1度目の繰り返しをしたときは水無月学園に転校生としてやってくる。が、カイトが邪魔をしてミヅキにコンタクトできず。
2度目の繰り返しでようやくミヅキとまともにコンタクトし、そこで母親の仇でないことを知る。
AGAIN2章の旅のパートでは、指名手配をされており逃げるために旅を始めたが、そのうちにミヅキに心惹かれ共に戦う選択をする。
カイトが現れた時、同じ顔なのに自分ではない違和感と、ミヅキが自分に向けたことない感情を向けているのに対し悩む。
そのうちにミヅキに恋をする(というか大切な存在になっていく)のだが、それに比例して穏やかに冷静になっていく。
戦闘技術は相当なもので、普通勝てない。ナイフを投げたり刺したりする。王宮式剣術もできる。朝にランニングをし、朝食を食べ、暇があれば筋トレをしているのでカイトに比べがっしりしている。
AGAIN2章の終わりではミヅキにキスをし、「次に会う時には相応しい存在になるから」と告白するシーンもある。その頃にはだいぶ落ち着いている。
ミヅキが記憶喪失して平和な村で暮らしている際は、ひとりだけ「ミヅキをこのままにさせてやりたい。幸せになって欲しい」と主張する。
料理はできる。サバイバルはお手の物。運動神経特化型。
トキ
黒樹城で研究者をやっている兄王子。付け加えるとツバサは弟王子、トキは兄王子と一般に呼ばれてる。(ときに蔑称にもなる)が、公務よりも研究を優先。父親のやっている研究の手伝いをしている。冷静沈着で、仕事はきっちりこなす。責任感はつよい。ツバサが言うことを聞くのはアツヒトとトキ(しぶしぶ )だけ。趣味は読書とガーデニング。古文書も読める。ほっといたらいつまでも研究や読書にあけくれている。元々同じ研究チームにいたフィリアと恋をし、プラトニックな愛を紡いでいたが父親に人質に取られ、仕事が終わった頃には殺されていた。それを見て、父親に歯向かうことを決意する。恋人の弔いは1人で、よく2人で寄り添っていた森にうめた。フィリオールと協定を結ぼうとしたり、意外な行動をすることがある。自室は自分の作った薬品や採取したものなどで埋まっており、ほっとくと寝食を忘れる。恋人がいたからなのか、本当の父親のことを知っているからなのか、ツバサに比べて段違いに優しさがある。
同人誌では「トキが作った薬のせいで」という口上が使える。第2章では教育実習生として学園に潜り込んでいる。先頭は得意ではなく守り、治癒がメイン。2章の最後では戦力にならないからと真っ先に飛び出し「先にいけ!」と体を張ることがある。知識が豊富。
ミヅキ
女性恐怖症(だけど女の子の友達はほしい)のいじめられっ子。天才すぎるのとコミュ障で生意気強気を言ってしまうので友達はカイトしかいない。(可愛いか ら男にはモテるが、それがまた女子を不愉快にさせている)いじめもあるし学校に合わないのであまり学校に行きたがらず、不良チームレンゴウカイのメンバーとゲーセンで屯していることが多い。朝が弱いのでカイトが起こして朝食を作りに来る。カイトとは幼なじみで、ミヅキは本当はすごく頼りにしている。兄は芸能人でなかなか帰って来れないが、それが本当は寂しい。家族は両親は幼い頃事故にあったと聞いている。ミヅキ自身、途中までの記憶が無いのは事故の後遺症だと言われている。実際には記憶操作されており、両親などもいない。兄とは血が繋がっていない。ミヅキは氷獣という種族で、氷獣は8年前にある計画により里を襲われ、もう生き残りはミヅキしかいないと思われている。兄のキタツキは実は王族直下秘密部隊(通称ハンター)の総司令官。フロンスティアにいってからもミヅキはなかなか人に素直になれないが、少しずつ変わっていく。アグノムにいちばん信頼を寄せている。ツバサとは日々ケンカをしている。ミクがその間に入る。トキと時々本について話したり、本を借りたりしている。アグノムの裏には気づいていない。ユクシーには憎まれ口を叩きながらも優しくなっていく。冒険をしながらもカイトの存在が大きく、寝言でカイトを呼んだり、助けてくれたツバサをカイトに見間違えたりする。実際カイトが合流した時は泣きながら抱きついていた。滅多に人前で涙は見せない。
フロンスティアにいるうちに封印されていた記憶が少しずつ蘇っていく。擬似二重人格のようになったり、封印が溶け始めて力が暴走し村をひとつ壊滅させてしまうこともある。その際仲間全員に見捨てられるが、ミクだけはそばに居る。
3章では未来の自分の子供と大人ミクと共に崩れてしまった世の中を立て直すために尽力する。
4章では妖獣の王として選ばれるものの、そこでアグノムと対立することになる。最終的には妖獣と人間の戦争をなんとか止める。そこでミヅキは力尽きて倒れてしまう。
余生は本編では描かれないが、キタツキと2人で暮らし、キタツキが介護し、落ち着ける北国の森の中の小さな家で最期を迎える。畳む 1年以上前(木 00:13:32) 創作語り
リュウ
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ミクミヅ 出産前
「なあに、それ」
「手袋だよ」
ぱちぱちと音を立て、赤く光を放ち続ける暖炉の隣で、棒を両手に、くるくると毛糸を回し、形を作っていく僕の指先を、彼女は吸い込まれるように見ていた。僕は危ないよと声をかける。集中している時の彼女は、気づいているのだろうか、眉間の皺が濃くなるが、それもまた愛しくて、思わず口が緩んでしまう。そんな僕を見て、彼女はそのままの顔で、やや首をかしげた。……その間も、手は彼女の少し膨らんだ腹部を撫でている。
その姿に、ああ、たしかに母親だ、と思う。彼女の胎内には、いるのだ、一人の命が。
「もうすぐ冬だからね。生まれてくる子が、寒くないように」
僕がそう言うと合点が言ったのか、彼女の表情がぱっと明るくなる。逆ハの字の眉がなだらかになる。すぐにころっと変わった柔らかな表情で、僕を見上げて、えへへ、と笑う。
ああ、なんて幸せなんだろう。
「……女の子かなあ、男の子かなあ」
「トキはまだわからないって言ってたね」
「うーん、でも、たぶん、女の子だよ」
「そっか。お母さんだもんね」
「うん!そう!あたし、お母さんになるの!」
うん、と頷くと、キラキラとした笑顔で彼女が少し僕に近づいた。編み物の手を止めると、僕はそれを足元のカゴに戻して、そのまま彼女を膝にのせた。彼女の背を支え、僕も彼女の腹部に載せられた手の上に、手を添える。そうしてお互い見つめ合うと、自然と笑顔になる。
「……もうすぐだね」
「……うん」
「体調は大丈夫?」
「問題ないよ!トキも言ってた」
「そっか、じゃあ安心だね」
もちろん安心できないことはわかっている。彼女はいま、命懸けで命を背負っている。出産にも、何が命取りになるかわからない。毎日がサバイバルのようなものかもしれない。僕はそれを肩代わりすることも、一緒に持つことも出来ず、ただ歯がゆい思いをするだけだ。
けれど、そんな彼女の一番そばにいることなら、きっとできる。そう思って、僕は今日も彼女の手を握る。
彼女は顔を赤くしながら、あっちをみたりこっちをみたりして、ゆっくりと僕を見上げる。僕が笑うと、彼女もまた、控えめに笑った。
「……そろそろ寝よっか」
「うん」
僕は彼女を姫抱きにしたまま、寝室へと向かう。歩くのも体力を使うから、歩ける時と歩けない時があった。身体に限界がきてる彼女が子を授かり、出産など、誰から見ても大変危険なことだった。それでも。
「えへへ、あたし、お母さんになっちゃうのね」
そう言って楽しそうに笑う彼女が、ずっと家族が欲しいといっていた彼女が、頑張るのなら、僕はただ手を握り、後押ししてあげたいのだ。
ベッドに寝かせて、電気を消し、彼女のおでこに口付けをする。寝るまでいてよ、と彼女は僕の服の裾を引っ張った。僕はベッドのふちに腰掛け、彼女の頭を撫でる。
「ねえ?」
「なあに」
「あのね、あたしにも作って、手袋。赤いのがいいな」
「わかった、任せて」
「でね、でね、ミクも作ってね」
「うん」
「赤ちゃんとね、三人でね」
おそろいがいいなぁ。そう言いながら眠りに落ちていった彼女の頬に口付けをして、毛布をもう一枚かけてやり、それからまた暖炉のそばへ戻ると、編み物の続きを始めた。
家族3人でお揃いの手袋。世界に一つしかない僕達の手袋を編むのだ。畳む 1年以上前(木 00:07:46) SS
「なあに、それ」
「手袋だよ」
ぱちぱちと音を立て、赤く光を放ち続ける暖炉の隣で、棒を両手に、くるくると毛糸を回し、形を作っていく僕の指先を、彼女は吸い込まれるように見ていた。僕は危ないよと声をかける。集中している時の彼女は、気づいているのだろうか、眉間の皺が濃くなるが、それもまた愛しくて、思わず口が緩んでしまう。そんな僕を見て、彼女はそのままの顔で、やや首をかしげた。……その間も、手は彼女の少し膨らんだ腹部を撫でている。
その姿に、ああ、たしかに母親だ、と思う。彼女の胎内には、いるのだ、一人の命が。
「もうすぐ冬だからね。生まれてくる子が、寒くないように」
僕がそう言うと合点が言ったのか、彼女の表情がぱっと明るくなる。逆ハの字の眉がなだらかになる。すぐにころっと変わった柔らかな表情で、僕を見上げて、えへへ、と笑う。
ああ、なんて幸せなんだろう。
「……女の子かなあ、男の子かなあ」
「トキはまだわからないって言ってたね」
「うーん、でも、たぶん、女の子だよ」
「そっか。お母さんだもんね」
「うん!そう!あたし、お母さんになるの!」
うん、と頷くと、キラキラとした笑顔で彼女が少し僕に近づいた。編み物の手を止めると、僕はそれを足元のカゴに戻して、そのまま彼女を膝にのせた。彼女の背を支え、僕も彼女の腹部に載せられた手の上に、手を添える。そうしてお互い見つめ合うと、自然と笑顔になる。
「……もうすぐだね」
「……うん」
「体調は大丈夫?」
「問題ないよ!トキも言ってた」
「そっか、じゃあ安心だね」
もちろん安心できないことはわかっている。彼女はいま、命懸けで命を背負っている。出産にも、何が命取りになるかわからない。毎日がサバイバルのようなものかもしれない。僕はそれを肩代わりすることも、一緒に持つことも出来ず、ただ歯がゆい思いをするだけだ。
けれど、そんな彼女の一番そばにいることなら、きっとできる。そう思って、僕は今日も彼女の手を握る。
彼女は顔を赤くしながら、あっちをみたりこっちをみたりして、ゆっくりと僕を見上げる。僕が笑うと、彼女もまた、控えめに笑った。
「……そろそろ寝よっか」
「うん」
僕は彼女を姫抱きにしたまま、寝室へと向かう。歩くのも体力を使うから、歩ける時と歩けない時があった。身体に限界がきてる彼女が子を授かり、出産など、誰から見ても大変危険なことだった。それでも。
「えへへ、あたし、お母さんになっちゃうのね」
そう言って楽しそうに笑う彼女が、ずっと家族が欲しいといっていた彼女が、頑張るのなら、僕はただ手を握り、後押ししてあげたいのだ。
ベッドに寝かせて、電気を消し、彼女のおでこに口付けをする。寝るまでいてよ、と彼女は僕の服の裾を引っ張った。僕はベッドのふちに腰掛け、彼女の頭を撫でる。
「ねえ?」
「なあに」
「あのね、あたしにも作って、手袋。赤いのがいいな」
「わかった、任せて」
「でね、でね、ミクも作ってね」
「うん」
「赤ちゃんとね、三人でね」
おそろいがいいなぁ。そう言いながら眠りに落ちていった彼女の頬に口付けをして、毛布をもう一枚かけてやり、それからまた暖炉のそばへ戻ると、編み物の続きを始めた。
家族3人でお揃いの手袋。世界に一つしかない僕達の手袋を編むのだ。畳む 1年以上前(木 00:07:46) SS